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映画「アバター」の世界観に通じる、“新たな物語”

パクス・ガイアへの道―地球と人間の新たな物語 トマス・ベリー著/ メアリー・エヴリン・タッカー編 浅田仁子訳 四六判・並製・248頁


 ●映画「アバター」の世界観に通じる、地球と人間と宇宙の絆をとり戻す“新たな物語”  世界的に大ヒットしている映画「アバター」。ストーリーや映像の斬新さもさることながら、そこに描かれている独自の世界観がすばらしい。自然と人間が調和し共存する美しい理想の世界──キャメロン監督はそれを映画という形で実現したが、もうひとり、それと通じる壮大な物語を書物に著していた人物がいる。文化史家トマス・ベリーである。  日本ではあまり知られていないが、米国ではエコロジーの精神的・歴史的基盤を探求してきた環境思想家としてよく知られている。  本書は、彼の環境問題に関する論文と講演記録からなるエッセイ集で、おもに三つのテーマから成り立っている。  第1-5章では、主として環境問題の現状とその原因となった西洋文明や宗教の問題について論じる。  第6-10章ではそれぞれ、国民国家、石油化学産業、地球温暖化、自然の権利、進化の叙事詩(宇宙の物語)といったテーマを扱う。  第11、12章は講演をまとめたもので、人類の未来について語っている。  ベリーはもともとヨーロッパとアジアの文化と宗教を研究してきた歴史家で、その文化史、科学、比較宗教学における該博な知識に基づいた本書は、地球の生態系の危機に対して読者の意識をめざめさせるとともに、この宇宙における人間存在の意味、科学と宗教的伝統の和解、運命共同体としての人類のあり方について深く考えさせてくれる。  20世紀に急展開した近代化と産業化の波や、科学と非科学的なものとの対立により、人間は互いを疎んじ合い、地球を荒廃させてきた。その病んだ状態から抜け出すために、進化の物質的次元と精神的次元とを統合する“新たな物語”が必要だとして、ベリーはその壮大なヴィジョンと新たな可能性をわたしたちに示してくれている。  そしてもっと主体的になって、地球と生きとし生けるもののための平和な時代=パクス・ガイアの時代を築いていこうと呼びかけている。  エコロジーを支える思想的基盤を知りたい方、あらゆる生物との共生の方向を模索している方にはぜひ読んでほしい。21世紀の人類が地球との関係を結び直すための指針のひとつとして挙げたい、可能性と希望に満ちた一冊だ。