夢判断 上・下〈オンデマンド版〉

本の紹介

夢の理論を精神分析の中核に据えたフロイドにとって、夢の解釈とはまさに人間の無意識解明への「王道」であった。フロイドが自己の著作の中で最も重要視し愛着を寄せた大著の決定版的名訳!(このシリーズのオンデマンド版では元本よりひと回り大きいため、文字も少し大きくなっています。)

夢判断 上』                 

夢判断 下

目次

1 夢の問題を扱った学問的文献
  夢と覚醒状態との関係/夢の材料/夢の刺激と夢の源泉/
  目が覚めるとなぜ夢を忘れてしまうのか/
  夢の心理学的特異性/夢の中の倫理的感情/
  夢理論と夢の機能/夢と精神病との関係
2 夢判断の方法──ある夢の実例の分析
3 夢は願望の充足である
4 夢の歪曲
5 夢の材料と夢の源泉
  夢の中に出てくる最近のものと些末なもの/
  夢の源泉としての幼児的なもの/身体的夢源泉/類型夢

6 夢の作業
  圧縮の作業/移動の作業/夢のいろいろな表現手段/
  表現可能性への顧慮/夢における象徴的表現/
  実例──夢における計算と会話/
  荒唐無稽の夢──夢における知的業績/
  夢の中の情動/第二次加工
7 夢過程の心理学
  夢を忘れるということ/退行/願望充足について/
  夢による覚醒──夢の機能──不安夢/
  第一次および第二次過程──抑圧/
  無意識と意識──現実

プロフィール


フロイド,S.(ジグムンド)
(1856年5月6日 – 1939年9月23日)
フロイト,S.(ジグムンド)とも表記される。精神分析学の創始者。20世紀が生んだ重要な人物の一人である。モラビアに生まれ、ウィーン大学で医学を学び、臨床医になる。はじめヒステリー治療の研究を行なっていたが、1900年に無意識(本人が知らない隠れた心理)の過程がわれわれの考えや行動を決定すると論じた『夢判断』を発表する。これを契機にフロイトの名声が高まり、以後40年間著作物をつぎつぎに発表する。そのなかで第一次大戦後ごろから生命には生体を無機状態にする欲動、つまり「死の欲動」があるのではないかと思索しはじめ、『快感原則の彼岸』を発表。1923年にガンと診断され、以後自分の死と闘いつつ、1938年にナチスから逃れるためイギリスに亡命。1939年に死去。その最後の10年間の内界がうかがえる第一級資料として『フロイト最後の日記 1929〜1939』(日本教文社)がある。
1902年から死の前年までウィーン大学神経病教授をつとめる。精神分析学、深層心理学、精神療法の理論的体型の基礎を築いた。無意識の世界、エゴ、リビドー、夢分析、エディプス・コンプレックスなどの概念・手法を創出し、その後の心理学・精神医学のみならず、政治、経済、教育、芸術など多方面にも大きな影響を及ぼす。『夢判断』(1900)『精神分析入門』(1920)は彼の代表作である。著作は『フロイド選集』(全17巻,書籍版〈4巻のみ〉またはオンデマンド版〈全巻〉、日本教文社)『フロイト著作集』(全 11巻,人文書院)等がある。
高橋義孝
大正2年生まれ。昭和10年東京帝国大学文学部独文科卒。2年間ドイツに留学。内田百聞に師事し、戦後、東京高校、九州大学、慶応義塾大学、名古屋大学、桐朋大学教授を歴任。昭和30年「森鴎外」で読売文学賞。心理学を援用した「文学研究の諸問題」や「ファウスト」などの翻訳でも有名。ほかに『近代芸術観の成立』『高橋義孝文芸理論著作集 』、エッセイ『すこし枯れた話』『酒客酔話』などがある。また、大相撲を愛し、39年から横綱審議委員会の委員をつとめ、56年より平成2年まで第4代委員長、横綱推薦内規の改革案を提言した。平成7年没。著訳書に『森鴎外』『ゲーテ小伝』のほか、『フロイド選集7芸術論』『フロイド選集11夢判断上』『フロイド選集12夢判断下』『フロイド選集14 愛情の心理学』『ユング著作集1人間のタイプ』『ユング著作集2現代人のたましい』などがある。
菊盛英夫
明治42年生まれ。昭和8年東京帝国大学文学部独文学科卒、読売新聞記者を経て、東京大学講師、中央大学教授を歴任した。映画・文芸評論でも活躍し、ベルリン国際映画祭の審査員も務めた。平成13年没。著書に『ベルト・ブレヒト』『文学カフェ』『知られざるパリ』『昭和交情記』『文学的表現主義』『評伝トーマス・マン』の他、『フロイド選集11 夢判断上』『フロイド選集12 夢判断下』などがある。
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